詩と愛

詩と絵のアイデア

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

30 Grove

木立を歩いていた。 日が昇る前だったからか、森全体が薄暗く、霧がかっていた。涼を期待して早朝の散歩に繰り出したのであったが、予想を上回る肌寒さに思いがけず身震いをする。歩けば歩くほどに服が冷たく湿っていった。初秋はすぐそこまで来ていた。 見…

29 無辺際オーパーツ

頭蓋の内側でネズミみたいに走り回っている。 愛の無い時代だ。 噂が下水を伝って新興住宅地の排水溝から溢れ出る。 愛を詠う人々が「愛ではない何か」を愛に見立てたまま死んでいったA.D.2000。 美しい文字列を前に、ネズミの足音が頭蓋に響き亘る。 無軌道…