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詩と愛

詩と絵のアイデア

8 寒い

寒い。ほんとうは寒くないのだけれども、寒いと言わないといけない風潮がある。これはよくない、と思う。

ぼくはみんなが寒い寒いと言っている中で寒くないと思うことができる選ばれた人間の一人である。ほんとうに寒くないのである。窓を開けると吹き込んでくる風が心地よく、ふいに春を感じてしまったのも、つまりはぼくが寒さに強いからなのである。凡夫は「寒い」としか言えないのである。これは語彙の問題でもある。「寒い」という言葉以外に、知らないのである。夏になれば、「暑い、暑い」と言い始める。「寒い」という言葉を忘れてしまっているのである。一つの言葉しか覚えられないのである。

そういったことも起こりうるのである。

起こりうる全てがせかいなのである。

ぼくが春の風に心をときめかせているのも、せかいの必然なのである。