詩と愛

詩と絵のアイデア

12 干からびた

みみず。

みみずが干からびると、はなよちゃんがそれを拾って帰ってきてしまう。

はなよちゃんが干からびたみみずを拾って帰ってきてしまうと、ぼくは少しだけ叱らないといけない。叱らないと、干からびたみみずを拾って帰る大人になってしまう。

これは善いことか? はたまた悪いことか?

その点がぼくには判断できない。「干からびたみみずを拾って帰る大人」という事象に対して善悪の判断をつけられるほど大それた人間ではないことはすでに判明している。

それでもぼくは叱らないといけない。なぜならば、「干からびたみみずを拾って帰る大人」という事象を悪だと考える風潮が社会に蔓延っているような気がするから。

しかし、気がするから、というだけで叱ってしまって善いものか? いっそのこと絶大な権力がそれを悪だと決めつけてくれれば、と思わないこともない(これはディストピアの始まりである)。善悪の判断が螺旋を描いてぼくを飲み込んでゆく。

というわけで、ぼくは明快な根拠を持たずに、はなよちゃんを叱ることになるのである。「みみずに水をかけてもどす仕事」の到来が待たれる(水でもどされたみみずは、はなよちゃんによって持ち帰られない)。